今右衛門と墨はじき 墨はじき作品の試行

今右衛門は、有田の三右衛門の一人であると言うのは以前のブログに書きました。正式には、今泉今右衛門で、現在は十四代目になるそうです。

1600年代に有田泉山で陶石が発見され、日本で初めて磁器が焼かれます。その後、中国より、赤絵の技法(色絵)の技法が伝わり、初代今右衛門は赤絵付けの仕事をしていたそうです。

十七世紀後半、有田皿山の窯元は百五十軒ほど、そして、赤絵屋は十一軒。鍋島藩の保護のもと、有田内山地区に集結。赤絵町が作られたそうです。

その中でも、最も技術力の優れた今泉今右衛門が藩の御用赤絵師に指名され、藩は家督相続法をつくり、一子相伝の秘法として保護をしたそうです。


十四代今右衛門  墨はじき


「墨はじき」とは、江戸期から鍋島ではよく使われた白抜きの技法である。技法の手順としては、まず墨で文様を描き、その上を染付で塗る。すると墨に入っている膠分が撥水剤の役目をし、墨で描いた部分が染付の絵具をはじく。その後、素焼の窯で焼くと墨が焼き飛び白抜きの文様が現われるという、染織のろうけつとよく似た技法である。

 鍋島ではこの「墨はじき」による白抜きは、主文様を引き立たせるための脇役の表現方法という目的を感じさせてくれる。「墨はじき」によって描かれた個所は、染付の線描きされた個所と比べるとやさしい控えめな印象を与える。鍋島ではその特性を最大限に生かすために、この「墨はじき」が主文様の背景に使われることが多い。染付で描いてもよさそうなところを、あえて一手間二手間かけて、主文様を引き立たせるために「墨はじき」の技法を使い描く、鍋島らしい神経の遣い方である。私はこの控えめではあるが、白抜きの奥深い魅力に惹かれ、背景を描くだけでなく、主文様の部分にも取り入れ作品に生かす努力をしている。

 鍋島の制作に携わっていく中で、このような目に見えない心配りを随所に見ることが出来る。目に見えるところに神経を遣うのは当然のことであるが、鍋島の世界では、このような、「墨はじき」の技法のような、目にみえない所に、神経と手間を惜しまない、何かこの感覚が鍋島の"高い品格"と"高い格調"を醸し出す要因になっているような気がするのである。鍋島ではこの「墨はじき」の技法を含め、格調高い木盃型の形状、気品高い柞灰釉、高い高台、櫛目などの高台書き、表書きに匹敵する程の裏書き、緊張感のある筆致、斬新且つ精巧な構図など、それら一つ一つの細かい神経と手間の集合によって、世界に類を見ない最高の色絵磁器が創り出されている。

 私は昨年2月、14代今右衛門を襲名し、鍋島の代々の仕事を継承していく中で鍋島の品格と格調をいかに守り創出するかを今後の目標とする覚悟である。その中で、この「墨はじき」のような、目に見えないところへの神経と手間を大事にすることをひとつの信念として取り組んでいきたいと思っている。

以上は十四代目のホームページの抜粋ですが、一子相伝とは言え、代々の今右衛門さんによって、その取り組みも変わっているんですね。

ギャラリーで、初めてその作品を見た時感激しました。上の説明にあるように、脇役であった墨はじきの文様が、主文様として作品に活かされている。

私もこの技法を是非身に付けたいと思いましたね。

白抜きが主の文様、白抜きの下地は白い磁器素地が、そして、染付の部分が逆に背景になっている。



墨抜きへのチャレンジ

上の引用文の冒頭にその技法が説明されてますね。

IMG_4102.JPG

でも、実際やってみないと分からないですね。この墨はじきをやっている友達がいて、分からないところを聞いてますので、それを頼りに。

今右衛門ギャラリーでも結構詳しく教えてくれましたけど。

素焼きに墨で文様を描く。そして、呉須を塗ると言うだけなんです。

でも疑問点が、墨は墨汁で良いのかな? 友達は墨汁の原液を使ったと言ってました。京都の絵付師さんは”墨を磨った方がいいよ”と言ってました。

次の疑問。塗るとは? 霧吹きで、呉須を掛けると思ってたんですが、筆で塗るそうです。これは、今右衛門でもそう言ってました。 でも、その水分で、墨が滲んだりしないのかな? 結果は滲みません。轆轤に置いて、彩色筆や、だみ筆を使います。ポイントは毛が多い事、そして、毛先が柔らかい事。

IMG_2488.JPG

左の作品は私の友人のUさんの墨はじき。良く見ると、この文様、十四代今右衛門さんの作品にそっくりです。

細い線で、雪の結晶みたいな文様が出てますね。現物はもっと綺麗な作品で、昨年の所属するグループの展示会の出展です。 この人は、同窓生で、丹波の方に工房を新築して陶芸をやってます。

冒頭の写真は、テストピースで、墨汁で絵を描いて見て素焼きをして見ます。もちろん、後ほど、呉須を筆で塗ってですけど。

 そして、今、タンブラーが一個素焼きをしてます。明日は、その結果が分かりますが、呉須が上手く弾かれてますように。

それと、写真を撮ってませんが、大鉢に新呉須で墨はじきの絵付けをしましたので、二回目の素焼きをします。

テーマは、"Blue Marine Life". 外側は、海中のBubbles, 内側には、海の魚など。白抜きされた部分に、着色しようかと思ってます。素焼きをして、墨の膠ではじかれた呉須の部分が白抜きになるはずです。もし抜けていなかったら、コンプレッサーの圧縮空気を掛けることで、墨汁の部分の墨や呉須が飛ぶそうです。


この技法は単純で面白そう。でも、繊細な墨の線はどうやって書くのだろう?私は、デザイナーペンと言うのを購入して描いてみてます。これは、万年筆のペン先みたいなもので、昔、インク瓶に描いていたもので、今では、漫画などの線画を描くのに使われているようです。墨はじきが上手く行かないようであれば、膠を足してはじきを強くしようと思います。

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