プロの技 商品の価値

展示会が終わりました。初めての展示会参加で、要領が余り分からないまま戸惑うことも多かったですね。そしてもちろん学ぶことも。

最大のメリットは、陶芸で知り合った陶芸仲間や、私の友人たちに実物の作品をまとめて見て貰ったことですね。そして、遠方より駆けつけてくれた友人たちが多くの作品を持ち帰ってくれました。

その後のフィードバックが嬉しいですね。”作品を見てると心が和らぐ”とか”思わず笑みが漏れる”とか、これって作者冥利に尽きますね。

今日はプロの職人さんの展示品を紹介します。

IMG_4208.JPG

この展示会は基本的には、この窯元の陶芸教室、陶芸スクールの生徒が中心ですが、窯元の商品や、先生である職人さんの作品も展示販売されます。

その一つが、左の写真



イッチン描き蔦文様豆皿


今年はどんな作品を職人さんは出すのかなと思っていたら、展示会の二週間前位から、上の豆皿を空き時間を使って作り始めました。

半丸の石膏型にたたら5mmで作った磁器土を叩いて型取り。”それ展示会用ですか?”と聞くと”そう”。どんな仕上げをするんだろう? なんだたたらの皿かと思いながら、”どんな仕上げをするんですか?””さ~どうだろうね”だって。見てのお楽しみらしい。

磁器土を丸く回しながら、円筒にまとめて行きます。磁器土は荒練りも菊練りもしません。

とんとんとんと回しながら粘土を締めて行くと、硬さが均等になり、そして土が締ります。

次は、5mmのたたら板で、切って行きます。(ここで大事な事、スライスした土はそのままにして外しません。そして、たたら板を一枚づつ外して、全てスライスします。)

これをお皿用の丸い石膏型に載せて、締めながら形を作って行きます。”先生、それ型紙で、丸く切らないの”と聞くと”切らないよ、このまま””でも、それでは、縁の高さがそろわないのでは”と言うと”それがいいと思うよ”だって。

”でも、削るんでしょう”と聞くと、”削りますよ”だって、数日したら、湿台の上に上向きに載せて、縁を超硬かんなで削っていた。どんな作品でも、縁は削ります。湿台の上に載せて、轆轤を右回転させて、カンナの刃をほぼ直角に当てて、右端の方で削ります。謂わば、回転に逆らって削ることになります。



作品の仕上げ


ある日、こんな作品に仕上がっていました。なんとも又、蔦文様の豆皿。この職人さんが得意のイッチン描きで蔦を描いているのは横目で見てました。

IMG_4209.JPG

それにして綺麗な作品。お皿がキラキラと光り、イッチンの線は少し金色に見える。

”先生これ金彩ですか?””違いますよ””色は下絵具?””釉薬だよ。天目、織部、白マット、ピンクは透明釉にピンクの顔料を加えてある”だって、返って来る答えが全て予想とは違う。

”釉薬は石灰透明?少し、黄色くみえるけど””土灰に少し弁柄を加えた。”だいたいこの人こんな返事が多い。”何パーセント弁柄を加えるんですか””適当に”

”これで教えているつもりなんかね”と心の中で思いながら、”0.2%位”?”と聞いても”適当に混ぜただけとの答えが返ってきた。

考えて見たら、適当にやったんだろうね。だって、釉薬には水が加えられているから、何%だと言われても分かる訳はない。ま~言ったら職人の長い経験の中からの感だろうね。

釉薬の調合と言うのは、全て粉末の配合です。だから、水を加えたものに何パーセントと言う基準はないんです。だから適当。同じ基礎釉に弁柄の配合を変えるだけで、黒天目、飴釉、青磁、青白磁、月白、黄磁などに変わりますので、素人は、サンプル焼成をして見るしかありません。当然、乾粉では一から作るのであれば、弁柄の比率と言うのはありますよ。この話は、水に溶かされた釉薬の事。でも、その内にその”適当”を教えてくれますけどね。

職人さんは、経験値や感のものが多くて困る時がありますけど、これも又良しそれが職人技だろうね。


それにしても素晴らしい作品です。これ幾らで販売したと思いますか? 一枚2000円でした。長崎から来た人が八枚、そして、後数枚は他の人が買ったそうです。

私がたたらで、お皿を作ったら、200円もしないでしょう。たたらをバカにしたらダメ。技術があれば、お宝になる。

これがやっぱりプロなんだと思いますね。この人が作る桜の絵付けの作品も、この唐草の作品も、そのベースにあるのが、イッチン描きですね。繊細な線を化粧土と絞り袋で描きます。そして、今回は色呉須の替わりに、いろいろな釉薬を組み合わせをして装飾する繊細な技法でした。そして、やはり磁器が良い。どんなに技術があっても、この透明感とキラキラ感は、素地が磁器であるが故だと思います。真っ白な磁器は、少し冷たい感じがしますので、同じ石灰透明でも、土灰釉でも、ちょっとした技でその結果が大きく変わるものですね。

と言うようなことで、技術サンプル用として一枚買って来て家に保存することにしました。

やっぱり、プロは違うなという事を認識させられた経験でした。

たかが豆皿 されど豆皿。

では失礼します。


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この記事へのコメント

Yokko
2019年11月28日 01:02
イッチンと釉薬の組み合わせ、さっそく真似してみようと思ってしまった私です。
ノーマン トミタ (Norman Tomita)
2019年12月01日 18:48
出来たら見せて下さい。イッチンは、あのプラスチック容器に入ったものですよね。唐草であれば、描けるかもね。私も磁器土で一度作ってみようと思ってます。
イッチン描きですが、いきなり描いても多分失敗しますよ。鉛筆で下絵を描いての方が良いです。それからイッチン描きするのは、削り終わって半乾燥になったものでやって下さい。でも、楽寿荘は12月の茶話会で終わりですから、どうやって焼くのかな?

>Yokkoさん
>
>イッチンと釉薬の組み合わせ、さっそく真似してみようと思ってしまった私です。
Yokko
2019年12月01日 19:59
そうです、、あのイッチンで唐草模様を描いて釉薬を入れてみようと思ってます。 南部センターで自由制作が今月と来月まだ2回もあるので大丈夫です🌷